フライバックコンバータ設計計算機

絶縁型スイッチング電源の心臓部、トランスパラメータを算出。

設計仕様 (Specs)

V
V
A
kHz
%
※通常 0.45 〜 0.5 以下
%

設計パラメータ結果

執筆者:Kaori Suzuki (Gojikara 電子回路エンジニア)

ACアダプタや家電の電源部に必ずと言っていいほど搭載されているのが、フライバックコンバータ (Flyback Converter) です。部品点数が少なく、安価に絶縁電源を作れるため、100W以下の小電力用途では圧倒的なシェアを誇ります。

しかし、設計のキモとなる「トランス(実際には結合インダクタ)」のパラメータ決定は、初心者には難解です。一次側インダクタンスの値、エアギャップ、そしてピーク電流の管理を誤ると、トランスが磁気飽和を起こしてFETが破損したり、意図した出力が出なかったりと、トラブルの温床になります。

本記事では、この計算機がベースとしている「不連続モード(DCM)」と「電流連続モード(CCM)」の設計思想の違い、そして安全な電源設計のためのマージン確保について、1000文字以上のボリュームで解説します。

1. フライバックの動作原理

フライバックコンバータは、「エネルギーを貯めて、放出する」というバケツリレーのような動作をします。

  1. スイッチ(MOSFET) ON:一次側コイルに電流が流れ、コアに磁気エネルギーが蓄えられます。この時、二次側には電流は流れません(ダイオードが逆バイアスになるため)。
  2. スイッチ OFF:蓄えられたエネルギーが、二次側コイルを通じて出力側へ放出されます。

この「ONの時に貯めて、OFFの時に出す」という動作が、フォワード方式との決定的な違いです。そのため、トランスには直流重畳特性に優れた「ギャップ付きコア」が必要になります。

2. DCMとCCM

設計において最も重要なのが動作モードの選択です。

  • DCM (Discontinuous Conduction Mode / 電流不連続モード):
    二次側の電流がゼロになりきってから、次のONターンが始まります。トランスが小さくなり、ダイオードのリカバリ損失も少ないですが、ピーク電流が大きくなります。小電力向け。
  • CCM (Continuous Conduction Mode / 電流連続モード):
    二次側にまだ電流が流れている途中で、次のONターンが始まります。ピーク電流を抑えられるため、大電力向けですが、制御系の安定化(右半面ゼロ点)が難しくなります。

この計算機では、一般的に設計の起点となる「最大負荷時に、Vin_minでちょうどDCM/CCM境界動作(あるいは深めのCCM)」となるようなインダクタンスを計算の目安としています。

3. 計算式のロジック

一次側インダクタンス $L_p$ は、以下のエネルギーバランス式から導かれます。

`P_{in} = 1/2 × L_p × (I_{pk}^2 - I_{ped}^2) × f_{sw}`

ここで重要なのが最大デューティ比($D_{max}$)です。通常は0.5以下(例えば0.45)に設定し、逆起電力によるFETへのストレスを管理します。

4. 安全マージンとスナバ回路

計算結果はあくまで理想値です。実際には漏れインダクタンス(リーケージインダクタンス)によってスパイク電圧が発生するため、RCDスナバ回路でこれを吸収する必要があります。トランスを特注する際は、計算されたインダクタンス値に対し、±10%程度の公差を許容できる設計にすることが重要です。

Gojikaraは、理論と実機のギャップを埋めるツールを提供します。